Nature ハイライト
がん:腫瘍を治療薬から守る細管ネットワーク
Nature 528, 7580
アストロサイトに由来する脳腫瘍、つまり星細胞腫(アストロサイトーマ)の治療を困難にしている要因の1つは、この腫瘍が脳組織に浸潤しやすいという性質を持つことである。F Winklerたちは、星細胞腫が伸ばす長い突起、つまり腫瘍から伸びる細管が脳への浸潤を促進し、相互に接続し合ってネットワークを形成して多細胞間での情報交換を可能にし、放射線治療によって引き起こされる細胞死から腫瘍を守ることを明らかにしている。神経成長関連タンパク質43(GAP-43)は、この過程の重要な因子であることが突き止められた。腫瘍細管を標的として星細胞腫細胞の作るネットワークを破壊することは、新たな治療法となるかもしれない。
2015年12月3日号の Nature ハイライト
量子物理学:エンタングルメントと真剣に取り組む
がん:がん細胞株の体系的比較
生態学:海洋生態系の温度バイアス
がん:腫瘍を治療薬から守る細管ネットワーク
システム生物学:酸素存在下での発酵は正常な現象である
核物理学:アルファ–アルファ散乱を計算する方法
気候変動生態学:干ばつに襲われた高木を死に追いやる水輸送の機能低下
神経科学:発達障害治療に新たな光
代謝疾患:脂肪中の制御性T細胞のインスリン抵抗性における有害な役割
遺伝学:状況に応じる転写因子