Nature ハイライト
気候科学:20世紀のグリーンランド氷床の損失
Nature 528, 7582
グリーンランド氷床(GIS)は加速度的に質量を失っており、全球の海水準上昇に寄与している。しかし、現在の損失速度は20世紀の変動と比べて異常なのだろうか。この疑問への答えを見つけることは、20世紀後半以前の観測が不足しているために困難であった。K Kjærたちは今回、1980年代に撮影・収集された航空写真を解析することで、このデータのギャップに取り組んだ。こうした写真によって、小氷期末期の氷床の最大範囲がトリムラインから明らかになり、写真が撮影された時点での氷床の位置が明らかになった。この双方の差から、氷床の損失速度には変化があったことが推測される。著者たちは、この結果を現在の観測とモデルに組み込んで、グリーンランド氷床は20世紀全体にわたって質量を失ったが、最近の損失速度は初期の2倍以上であることを示している。氷床損失の加速の大部分は、氷床の動き方の変化(ほぼ一定)ではなく、表層の質量収支の変化によって生じていることも分かった。
2015年12月17日号の Nature ハイライト
神経科学:学習中の神経シーケンス形成
神経科学:光遺伝学による交絡の影響
環境微生物学:根と葉の微生物相の解析
免疫学:A20タンパク質の抗アポトーシスおよび抗炎症作用
宇宙物理学:超新星を駆動している強磁場
量子物理学:エンタングル粒子の寄せ集め
気候科学:20世紀のグリーンランド氷床の損失
生物多様性:かつて酸性化した土壌での生物多様性の回復
微生物学:酸化的損傷の新規な修復系
分子生物学:相同組換えの制御