Nature ハイライト
微生物学:酸化的損傷の新規な修復系
Nature 528, 7582
今回F Barrasたちが、細菌細胞外被中のペリプラズムタンパク質で酸化的損傷を受けたメチオニン、つまりメチオニンスルホキシド(Met-O)を含むものを幅広く修復する酵素系MsrPQの存在を明らかにしている。細菌細胞外被は、宿主の防御機構による酸化的損傷を特に受けやすい区画である。MsrPとMsrQはグラム陰性菌に広く存在し、好中球が放出する強力な抗菌物質である次亜塩素酸にさらされると発現される。MsrPQ修復系は従来知られているメチオニンスルホキシド還元酵素とは機能的に別もので、立体特異性を示さず、Met-OのR-およびS-ジアステレオマーを両方とも還元できる。また、MsrPQ系は還元力として呼吸鎖由来の電子を使うという、全く新しい作用機構を持つことも分かり、代謝と細胞の完全性との間のこれまで知られていなかった関連が明らかになった。
2015年12月17日号の Nature ハイライト
神経科学:学習中の神経シーケンス形成
神経科学:光遺伝学による交絡の影響
環境微生物学:根と葉の微生物相の解析
免疫学:A20タンパク質の抗アポトーシスおよび抗炎症作用
宇宙物理学:超新星を駆動している強磁場
量子物理学:エンタングル粒子の寄せ集め
気候科学:20世紀のグリーンランド氷床の損失
生物多様性:かつて酸性化した土壌での生物多様性の回復
微生物学:酸化的損傷の新規な修復系
分子生物学:相同組換えの制御