Nature ハイライト
Cover Story:古代の戦争の痕跡:1万年前にトゥルカナ湖畔で起こったヒト間の抗争
Nature 529, 7586
表紙はケニア北部Natarukで出土した頭蓋骨。この男性の死因となった外傷が認められる。暴力と戦争は何千年にもわたって人類社会の成り行きを方向付けてきたが、考古学的記録中に見つかる集団間抗争の起源に関しては、保存が運任せであることに加え、そうした抗争がどのように定義・認識されるかによっても変わるために異論が多い。今回、M Mirazón Lahrたちは、前期完新世に狩猟採集民の間で生じた集団間暴力の事例を示す化石の発見を報告している。かつて小さな沼であった場所の近傍で発見された骨格12体のうち、10体には暴力によって死亡したことの証拠が明らかである。埋葬を意図的に行ったことを示す形跡はなく、頭蓋骨の1つには黒曜石の小石刃が食い込んでいるなど、一部の個体では大きな外傷が複数見られた。研究チームはこれらの化石群を、トゥルカナ湖の肥沃な湖岸で1万年程度前に起こった集団間の暴力的遭遇の結果と考えている。
2016年1月21日号の Nature ハイライト
神経科学:網膜神経節細胞には多数の種類がある
がん:再発性腫瘍の治療
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
電池技術:超酸化リチウムを利用した電池
生態学:草原の生産力と多様性
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
細胞生物学:エンドソームからの搬出の際に起こるホスホイノシチドの転換反応
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る