Nature ハイライト
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る
Nature 529, 7586
ブロモドメインによってクロマチンの修飾を読み取るBRD4などを標的とするBET阻害剤は、がんの治療薬候補として性質が調べられている。今回K Polyakたちは、乳がんの細胞株と異種移植片マウスモデルのBET阻害剤に対する反応を調べ、トリプルネガティブ乳がん細胞株がBET阻害剤に反応することを見いだした。耐性が生じる可能性はあるが、薬剤排出、ブロモドメイン遺伝子の変異、既知のドライバー遺伝子などの機構が存在する証拠は見つからなかった。その代わり、転写の変化や、クロマチンへのBRD4の結合のブロモドメインとは無関係な増加が起こり、それと同時にBRD4のリン酸化が亢進することが分かった。これらの結果は、最近Natureに報告されたM Dawson、あるいはJ Zuberの研究チームの異なるがんを扱った2つの研究と共に、BET阻害剤に対する臨床反応を改善できそうな方法を示唆している。またNews & Viewsでは、J Settlemanがこれら3つの論文について論じている。
2016年1月21日号の Nature ハイライト
神経科学:網膜神経節細胞には多数の種類がある
がん:再発性腫瘍の治療
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
電池技術:超酸化リチウムを利用した電池
生態学:草原の生産力と多様性
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
細胞生物学:エンドソームからの搬出の際に起こるホスホイノシチドの転換反応
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る