Nature ハイライト
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
Nature 529, 7586
mRNAからタンパク質への翻訳の際には、どの生物も、20種類のアミノ酸と終止シグナルをコードする、同じ64通りの3つ組コドンを用いているが、それぞれのコドンの利用頻度は生物種によって異なる。ある遺伝子を異種の系で翻訳させたときに、しばしばタンパク質発現が低いのは、この違いが原因だと考えられてきた。J Huntたちは今回、複数のタンパク質発現実験の結果の詳細な解析を行い、コドンの影響の新たな指標を導き出した。この指標を用いて遺伝子を再設計すると、転写には影響が出ないが、翻訳効率が大幅に高まることが分かった。彼らは、in vivoでのmRNA分解と翻訳の過程は競合しており、この指標を用いることでタンパク質産生を高めることができると結論付けている。この方法によって、多くの生物工学や実験の設定において異種での遺伝子発現が容易になるかもしれない。
2016年1月21日号の Nature ハイライト
神経科学:網膜神経節細胞には多数の種類がある
がん:再発性腫瘍の治療
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
電池技術:超酸化リチウムを利用した電池
生態学:草原の生産力と多様性
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
細胞生物学:エンドソームからの搬出の際に起こるホスホイノシチドの転換反応
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る