Nature ハイライト
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
Nature 529, 7586
転写因子遺伝子Nanogはマウスの多能性細胞にも始原生殖細胞にも発現しているが、生殖細胞におけるNanogの役割は解明されていなかった。in vitroでエピブラストへと細胞運命を変換された胚性幹細胞は、シグナル伝達分子BMP4に曝露されると生殖細胞への運命も獲得できる状態にある。今回A Suraniたちは、このような胚性幹細胞ではBMP4が存在しなくても、Nanogの発現のみで生殖細胞への運命を誘導できることを見いだした。このようなプライム型エピブラストに起こったクロマチンのリセットにより、NANOGが重要な生殖細胞因子に結合して、その発現を活性化できるようになることが実証された。多能性因子Sox2は、エピブラスト状態ではNanogがこれらの生殖細胞因子に与える作用を防止するが、ナイーブ型胚性幹細胞ではSOX2とNANOGは協調して多能性を維持させる。
2016年1月21日号の Nature ハイライト
神経科学:網膜神経節細胞には多数の種類がある
がん:再発性腫瘍の治療
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
電池技術:超酸化リチウムを利用した電池
生態学:草原の生産力と多様性
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
細胞生物学:エンドソームからの搬出の際に起こるホスホイノシチドの転換反応
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る