Nature ハイライト
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
Nature 529, 7586
物理学における現在の最も難解な問題の1つは、宇宙において物質が反物質よりもはるかに多く見られるのはなぜかというものである。反物質の性質を調べれば、この不均衡が生じる理由のヒントが得られるかもしれない。素粒子物理学の標準模型によると、反水素の電荷は中性のはずだが、反物質を生成してその性質を測定するのが難しいため、これを実験的に検証するのは困難である。今回CERNのALPHA Collaborationのチームが、反水素の電荷を測定し、これまでより20倍高い精度で、電荷が中性であることを確かめた。反陽子の電荷も同程度の精度で分かっているので、この結果から陽電子の電荷異常の限界も改善される。
2016年1月21日号の Nature ハイライト
神経科学:網膜神経節細胞には多数の種類がある
がん:再発性腫瘍の治療
生物工学:タンパク質翻訳を改善する
素粒子物理学:さらに精度の上がった反水素の電荷中性性
電池技術:超酸化リチウムを利用した電池
生態学:草原の生産力と多様性
発生生物学:生殖細胞におけるNanogの役割
細胞生物学:エンドソームからの搬出の際に起こるホスホイノシチドの転換反応
がん:BET阻害剤への耐性が生じる経路を探る