Nature ハイライト 神経:一個の脳細胞でひげは動く 2004年2月19日 Nature 427, 6976 ラットのひげの動きは1個の脳細胞によって制御されているらしい。この発見は、神経細胞の活動が身体の動きを制御するしくみの解明に役立ちそうだ。両下肢麻痺患者の運動能力の回復を試みる研究者たちは長年この問題の答えを探し求めてきている。M Brechtたちは、ラットの皮質にあるニューロンを1個だけ刺激することに成功した。これまでの試みでは、1個のニューロンでなく、ニューロン群が刺激されていたので、これは大きな技術的成果である。そして、1個の細胞内に微弱な電流を送ると、ひげの正確な動きが生じることがわかった。この発見は脳の活動と身体運動の間をつなぐ「暗号」を解明する手がかりとなる。今回の結果は、こうした暗号を使って、義足などの装具に使う脳-コンピューターインターフェース、つまり、頭が「考えた」ことを制御された運動に変える装置を開発する場合の助けになりそうだ。 2004年2月19日号の Nature ハイライト 生態:魚投棄量減少の影響は仲間の鳥へ 生態:「足かせ」の無い異国で暴走する外来雑草 地球:縁まで押しだされた不適合元素 医学:腫瘍を締め上げる方法 気候:古代における極域と赤道域の気候の関連 量子物理:熱が逃げると 神経:一個の脳細胞でひげは動く 目次へ戻る