Nature ハイライト

医学:腫瘍を締め上げる方法

Nature 427, 6976

急速に増殖する癌細胞は腫瘍内部の血管を押しつぶしてしまい、抗癌剤が標的に到達してそれを破壊するのを難しくすることがあるようだ。このような圧迫作用を軽減する方法があれば、薬剤送達をもっとうまく行えるようになるかもしれない。 R K Jainたちは、ヒトの癌細胞をマウスに移植した。そしてそのマウスにジフテリア毒素を与えたところ、腫瘍細胞は死に始めた。ジフテリア毒素は、マウス細胞よりもヒト細胞の方を選んで死滅させる。この処理は、腫瘍内部の血管やリンパ管にかかる圧迫圧を低減することで、これらの管を再開通させる。 このような抗圧迫療法には利点がありそうだが、Jainたちは慎重である。新たに開通した血管は薬剤輸送効率を高めるかもしれないが、同時に癌が栄養分を得やすくなり、また拡散傾向のある癌細胞に脱出路を与えかねないからだ。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度