Nature ハイライト 生態:「足かせ」の無い異国で暴走する外来雑草 2004年2月19日 Nature 427, 6976 新しい土地に侵入した植物が、そこでやたらにはびこることがある。その理由は、侵入種が本来の生息地では土壌微生物から受けていた抑えがもはや効かなくなったかららしい。この結果は、一部の外来雑草の旺盛な繁殖を説明する助けとなりそうだ。R Callawayたちは、世界各地で最も厄介な雑草の1つとして知られている、ヤグルマギク属のCentaurea maculosaの成長を、北米の土と、本来の生育地である欧州の土を用いて調べてみた。フランスの土では発育は抑えられたが、これはおそらく、この植物の根中で生活するように進化してきた病原微生物が存在するためらしい。これに対して、本来の生息域ではないモンタナ州の土の場合、盛んな成長が認められた。この理由は、栄養を供給する有益な微生物が根に入り込んでコロニーを形成しているためであると考えられる。Callawayたちはさらに、滅菌して微生物のいない土を使った場合の植物の成長を調べてこの説を検討した。その結果、欧州産の植物の成長は最大900%まで促進されたが、米国産の植物では成長が低下する場合もあった。つまり、米国に侵入した植物は、今まで違う微生物という仲間の助力を得ていることが判明したのである。 2004年2月19日号の Nature ハイライト 生態:魚投棄量減少の影響は仲間の鳥へ 生態:「足かせ」の無い異国で暴走する外来雑草 地球:縁まで押しだされた不適合元素 医学:腫瘍を締め上げる方法 気候:古代における極域と赤道域の気候の関連 量子物理:熱が逃げると 神経:一個の脳細胞でひげは動く 目次へ戻る