Nature ハイライト
古生物学:初期のゴリラ系統に関する見直し
Nature 530, 7589
エチオピア・アファール地溝帯南縁部のチョローラ累層は、約1050万年前の化石を産すると考えられてきた。2007年に諏訪元(東京大学)たちは、チョローラ累層からゴリラの化石近縁種を発見したことを報告した。このチョローラピテクス・アビシニクス(Chororapithecus abyssinicus)は、層序年代から1050万~1000万年前のものと考えられ、またその特徴からゴリラのクレードの基部に位置する種と見なされた。諏訪たちは今回、新たな野外観察や、地球化学、地磁気層序学および放射性同位体のデータを示し、チョローラ累層の年代を約800万年前へと大幅に修正している。これによりチョローラピテクスの年代は、ユーラシアに類人猿が広く生息していた年代から、化石類人猿の証拠が乏しい年代へと引き上げられる。チョローラピテクスのゴリラ系統への帰属は、ヒト族およびチンパンジーにつながる系統とゴリラとの分岐年代の絞り込みに役立ち、また、この分岐がアフリカで起こったことを示唆するため、一層重要だと思われる。
2016年2月11日号の Nature ハイライト
進化生物学:「種分化遺伝子」Prdm9の作用機構
神経科学:統合失調症の遺伝学
老化:老化細胞の有害な影響
素粒子物理学:衝突型加速器に向けて進歩するレーザー加速器
X線結晶学:不完全な結晶の構造決定
古生物学:初期のゴリラ系統に関する見直し
神経科学:オピエート依存に関与する神経回路
幹細胞:造血幹細胞ニッチの特徴付け
ウイルス感染:エボラウイルスのゲノムサーベイランス
構造生物学:Gタンパク質共役受容体の柔軟性