Nature ハイライト
構造生物学:Gタンパク質共役受容体の柔軟性
Nature 530, 7589
Gタンパク質共役受容体(GPCR)は多くの生物過程に関わる膜タンパク質で、重要な薬剤標的である。ここ数年間でGPCRのX線結晶構造はいくつか報告されているが、それに比べるとコンホメーションの動的変化について分かっていることは少ない。今回、シチメンチョウのβ1アドレナリン受容体について、アンタゴニスト、部分アゴニスト、完全アゴニストの存在下で起こるコンホメーション変化がNMR分光法を使って調べられた。複数のアロステリックシグナル伝達経路が明らかにされ、このGPCRにアゴニストが結合すると、1本の重要な膜貫通ヘリックスが曲がり始めて、2011年に報告されたβ2アドレナリン受容体/Gタンパク質複合体の結晶構造で観察された「活性型」のコンホメーションに近づいて行くことが突き止められた。
2016年2月11日号の Nature ハイライト
進化生物学:「種分化遺伝子」Prdm9の作用機構
神経科学:統合失調症の遺伝学
老化:老化細胞の有害な影響
素粒子物理学:衝突型加速器に向けて進歩するレーザー加速器
X線結晶学:不完全な結晶の構造決定
古生物学:初期のゴリラ系統に関する見直し
神経科学:オピエート依存に関与する神経回路
幹細胞:造血幹細胞ニッチの特徴付け
ウイルス感染:エボラウイルスのゲノムサーベイランス
構造生物学:Gタンパク質共役受容体の柔軟性