Nature ハイライト
構造生物学:2孔型チャネルAtTPC1の性質を調べる
Nature 531, 7593
2孔型チャネルは陽イオン選択性イオンチャネルの一種で、動物や植物の細胞の細胞内小器官で広く発現している。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来の2孔型チャネルAtTPC1のX線結晶構造から、その構造に加えて電位によるゲート開閉機構が明らかになった。AtTPC1の活性化には電位と細胞内Ca2+の両方が必要で、電位による活性化は細胞小器官内腔のCa2+によって阻害できる。Y Jiangたちは、AtTPC1の結晶構造を3.3 Åに至る分解能で決定し、予想されたとおりに2つのAtTPC1サブユニットが機能を備えたチャネルを構成していることを見いだした。一方、A KintzerとR Stroudは、2.87 Å分解能でのAtTPC1の結晶構造を報告し、イオン透過とチャネル活性化の機構、また調節部位と電位感知ドメインの位置を明らかにしている。
2016年3月10日号の Nature ハイライト
学習と記憶:自分の位置を知る
細胞生物学:監視機構の障害でタンパク質毒性が生じる
構造生物学:2孔型チャネルAtTPC1の性質を調べる
超伝導体:マヨラナモードがより現実的に
有機化学:化学品の原料としての二酸化炭素
気候変動生態学:気候に敏感な生態系が特定された
分子進化学:有性生殖は自然選択の効率を高める
再生:アホロートルの肢再生シグナル
植物科学:LURE1を追いかける多数の花粉管受容体
がん:肝疾患と肝臓がんを結び付ける