Nature ハイライト
Cover Story:循環型経済:無駄な廃棄物のない世界
Nature 531, 7595
今週の特集は「循環型経済(circular economy)」である。この用語は、持続可能性の概念を先進工業国の経済に広く適用し発展させる動きの主導者であるスイスの建築工学者Walter Stahelが創り出したものだ。StahelはCommentで、「廃棄物のない(waste-free)」世界の重要な原則である再使用、修理、再製造およびアップグレードについて概説し、その究極の目標は原子のリサイクルだと述べている。John MathewsとHao Tanはもう1つのCommentで、中国が循環型経済に向かう経過を追っている。この過程は、もっと高度な測定法によって追跡する必要があると彼らは考えている。また別のCommentでは発達心理学者のBruce Hoodが、ヒトが財産を貯め込んで自身の社会的地位を高めようとする理由を探り、リサイクル製品を社会的にもっと魅力のあるものにする必要性を強調している。またBooks & Artsでは、循環型経済の原則をうまく機能させることに留意したエコデザインを論じる本がいくつか紹介されている。(Comments, Books & Arts)
2016年3月24日号の Nature ハイライト
有機化学:触媒を用いたオレフィンメタセシス反応
微生物海洋学:宿主を生かす海洋ファージ
がんゲノミクス:p53近接遺伝子群が腫瘍発生に関与する
惑星科学:月の極移動
人間行動学:正直は最善の策
人類学:旧石器時代の食物加工
進化生物学:中期更新世のスペインにいたヒト族はネアンデルタール人に近縁だった
神経科学:失われた記憶を取り戻す
がん免疫学:転移に対する最初の免疫応答
がん治療:発がん性非コードRNA
免疫学:アミノ酸欠乏による腸炎症の軽減