Nature ハイライト
神経科学:夜の色覚
Nature 532, 7598
低い光量に感受性を示す桿体細胞は全て同一の視物質を持つため、色覚は網膜中にあって明るい光の下で活動する錐体細胞からのシグナルの比較に依存していると考えられてきた。しかし今回、M JoeschとM Meisterは、マウス網膜神経節細胞(J-RGC)内の遺伝学的標識付けした一群が、紫外線に対して生じる錐体からのOFF応答と、緑色光に対して完全に桿体だけで発生するON応答とを統合していることを明らかにしている。著者たちは、これまで知られていなかったこの色覚回路はマウスが同種のマウスの付けた尿マーキングを夜間に見つけやすいようにしているのだろうと考えていて、ヒトにも同じような回路があるとすれば我々が薄明時、つまり薄暗い時や、夜の景色を見る際に経験する青色方向への顕著なずれを説明できると論じている。
2016年4月14日号の Nature ハイライト
物性物理学:砂時計フェルミオンの展望
再生:アストロサイト瘢痕は軸索の再成長を促進する
再生:組織再生エンハンサーが見つかった
量子物理学:市民の力で量子物理学の問題を解く
地球化学:気候と地形
人類学:先史時代の南米の人口動態史
神経科学:夜の色覚
皮膚がん:加齢ががんのプログレッションに及ぼす影響
がんの代謝:細胞外マトリックスから脱落したがん細胞が増殖し続ける仕組み
がんゲノミクス:がんの活性なプロモーターでの変異率