Nature ハイライト
Cover Story:語が意味をなす場所:大脳皮質の意味アトラス
Nature 532, 7600
単語や言語の意味は、大脳皮質の多くの部分に広く分布する「意味システム」で表されると考えられている。しかし、このネットワークの機能的、また解剖学的構成の詳細についてはほとんど分かっていない。今回A HuthとJ Gallantたちは、自然に語られる発話を聴いている状態の被験者から得た機能的MRI記録をボクセル単位でモデル化する方法を使って、ヒト脳での語意の機能的表現のマッピングに着手した。それぞれの意味概念は複数の意味領域に表され、個々の意味領域は複数の意味概念を表現していることが分かった。一方、再現された意味マップは被験者の間でおおむね一致していて、これは将来の言語処理研究に使用できる意味アトラスの基礎となる。このアトラスのインタラクティブ版は、http://gallantlab.org/huth2016で参照できる。表紙は、被験者の1人の皮質表面に、対応する皮質部位を特に強く反応させると予測される単語を重ねて描いたイラスト。単語に付けた色は、例えば緑は主に視覚や触覚の関わる概念、赤はほぼ社会的といえる概念というように、語の意味カテゴリーを示している。白線は、従来から知られている関心領域の輪郭を示している。
2016年4月28日号の Nature ハイライト
学習と記憶:次の行動を準備する皮質ネットワーク
海洋微生物学:炭素フラックスに関わる海洋プランクトン
光物理学:不確実になる時間がない
材料:ナノクラック・コーティングで重要な膜の水分を維持する
古生物学:米国イリノイ州の「タリーモンスター」の新解釈
生物海洋学:リザリアが海洋生態学の主役に浮上
免疫学:微生物たっぷりの「汚れた」マウスの方がより良い免疫学的モデルとなる?
遺伝子工学:CRISPR免疫で機能するCpf1酵素