Nature ハイライト

遺伝子工学:CRISPR免疫で機能するCpf1酵素

Nature 532, 7600

細菌の免疫系であるCRISPRは、crRNAと呼ばれる小分子RNAをガイド鎖として使って、相補的な配列を含むDNAを核酸分解CRISPR複合体の標的とする。この過程はさまざまな種類のゲノム操作に広く用いられている。これまでに報告されたCRISPR系は、Cas6のような1種類のヌクレアーゼを用いて成熟したcrRNAを作り出し、次いでCas9のような2番目のヌクレアーゼを使って標的DNAを切断する。今回、2つの研究により、Cpf1タンパク質が関わるまた別のCRISPR系が明らかにされた。E Charpentierたちは、Francisella novicidaのタイプV-A Cpf1タンパク質が、最小のCRISPR系として機能することを報告している。このCpf1は二重の機能を持つヌクレアーゼ酵素で、2種類の基質に対してそれぞれ別の活性ドメインがあり、crRNA前駆体のプロセシングとDNA切断の両方を行うことができる。Z Huangたちは、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)の細菌の単量体Cpf1タンパク質について、crRNAに結合した状態の結晶構造を解き、この結合がヌクレアーゼ内にコンホメーション変化を引き起こす仕組みを明らかにしている。

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