Nature ハイライト
生物海洋学:リザリアが海洋生態学の主役に浮上
Nature 532, 7600
海洋生態系には、さまざまなサイズのプランクトンが存在しており、大型の動物プランクトンはもっと小さいプランクトンを餌として食べることで、海洋の食物網や炭素循環に一役買っている。しかし、壊れやすい体を持つ大型動物プランクトンが海洋生態系に果たす役割やその寄与の程度については、解明が進んでいない。今回T Biardたちは、全球規模のタラ海洋探査でin situ画像化法によって得られたデータを用いて、600 μmよりも大きいリザリア(海洋原生生物の大系統群の1つ)と他の動物プランクトンの寄与をそれぞれ定量し、リザリアのバイオマス量がこれまで考えられていたよりはるかに大きく、最大で全海洋生物相の炭素貯蔵量の5.2%にも相当することを見いだした。これらの知見により、海洋のプランクトンのバイオマスや一次生産力をはじめとする生物地球科学的過程に、リザリアが重要な寄与をしていることが明らかになった。
2016年4月28日号の Nature ハイライト
学習と記憶:次の行動を準備する皮質ネットワーク
海洋微生物学:炭素フラックスに関わる海洋プランクトン
光物理学:不確実になる時間がない
材料:ナノクラック・コーティングで重要な膜の水分を維持する
古生物学:米国イリノイ州の「タリーモンスター」の新解釈
生物海洋学:リザリアが海洋生態学の主役に浮上
免疫学:微生物たっぷりの「汚れた」マウスの方がより良い免疫学的モデルとなる?
遺伝子工学:CRISPR免疫で機能するCpf1酵素