Nature ハイライト
材料:ナノクラック・コーティングで重要な膜の水分を維持する
Nature 532, 7600
ポリマー膜は、水の濾過、逆電気透析による発電、燃料電池やフロー電池でのエネルギーの生成と貯蔵など、イオン分離やサイズ分離に頼る多くの過程において重要である。多くの応用では、膜のイオン輸送が維持されるよう膜は常に水を保持している必要があるが、膜が湿潤環境にない場合、これが問題になる可能性がある。今回Y Leeたちは、炭化水素膜の乾燥を防ぐことで膜のイオン伝導を維持する手法について報告している。著者たちは、夜間に水を取り込んで高温や乾燥条件下で閉じるサボテンの気孔に着想を得て、ナノスケールのひび(「ナノクラック」)の入った疎水性表面コーティングを燃料電池用プロトン交換炭化水素膜に施した。膜が干からび始めると、膜が収縮してコーティングのクラックが閉じることで、クラックがバルブとして働き、減湿時に膜中の水の脱離を遅らせイオン伝導を維持する。著者たちは、表面ナノクラック・コーティングを施すと、中温作動燃料電池や逆電気透析膜の性能が向上することを実証している。
2016年4月28日号の Nature ハイライト
学習と記憶:次の行動を準備する皮質ネットワーク
海洋微生物学:炭素フラックスに関わる海洋プランクトン
光物理学:不確実になる時間がない
材料:ナノクラック・コーティングで重要な膜の水分を維持する
古生物学:米国イリノイ州の「タリーモンスター」の新解釈
生物海洋学:リザリアが海洋生態学の主役に浮上
免疫学:微生物たっぷりの「汚れた」マウスの方がより良い免疫学的モデルとなる?
遺伝子工学:CRISPR免疫で機能するCpf1酵素