Nature ハイライト
抗生物質:新規マクロライド系抗生物質に向けて
Nature 533, 7603
現在使用されている抗菌剤の大半は、天然の代謝物の化学修飾に基づく半合成、すなわち部分的化学合成によって作られたものである。今では、細菌耐性の拡大によって、こうした抗菌剤の多くが効き目をなくしている。マクロライド系抗生物質は、放線菌によって作られる大環状ラクトンであり、最も生産性の高い抗生物質群の1つである。今回A Myersたちは、半合成の欠点の多くを回避するマクロライド系抗生物質の実用的な全合成経路を報告している。この合成経路では、単純なビルディングブロックを収束的に組み立てていく方法が用いられている。この方法を使って300種類以上の新しい抗生物質候補が合成され、そのうちのいくつかは、既存のマクロライド系抗生物質に耐性を持つ菌株に対しても抗菌活性を示した。
2016年5月19日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:がん細胞株の再評価
抗生物質:新規マクロライド系抗生物質に向けて
構造生物学:遺伝子転写開始の構造基盤
宇宙物理学:降着を受けている白色矮星連星系
生物地理学:深海の生物多様性を捉える
神経科学:報酬探索行動の選択と調節
再生生物学:サンショウウオの肢の前方–後方シグナル
内分泌学:ニューロテンシンは肥満の要因である
生物工学:二本鎖切断をしないDNA編集
ウイルス学:ジカウイルスが手ごわい理由