Nature ハイライト
内分泌学:ニューロテンシンは肥満の要因である
Nature 533, 7603
ニューロテンシン(NT)は、小腸の腸内分泌細胞に発現する13個のアミノ酸からなるペプチドで、脂肪摂取に際して放出され、脂肪酸の移行を促進する。NT受容体として、NTR1、NTR2、NTR3の3つが知られている。今回、腸細胞でNTがNTR1およびNTR3を介して下流のAMPK活性を抑制し、脂肪酸の吸収を増加させることが分かった。高脂肪食を摂取させたNT欠損マウスは、野生型の対照マウスとは異なり、肥満、肝臓脂肪症、インスリン抵抗性から防御された。ハエの腸内分泌細胞にNTを発現させると、中腸、脂肪体、エノサイトでの脂質の蓄積が増加し、AMPK活性も抑制されたことから、この経路が保存されていると考えられる。ヒトでは、肥満の場合もインスリン抵抗性の場合も、NTの前駆体であるpro-NTの血漿レベルが上昇しており、pro-NTのレベルが高いことがその後の肥満のリスクを倍増させることが示された。
2016年5月19日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:がん細胞株の再評価
抗生物質:新規マクロライド系抗生物質に向けて
構造生物学:遺伝子転写開始の構造基盤
宇宙物理学:降着を受けている白色矮星連星系
生物地理学:深海の生物多様性を捉える
神経科学:報酬探索行動の選択と調節
再生生物学:サンショウウオの肢の前方–後方シグナル
内分泌学:ニューロテンシンは肥満の要因である
生物工学:二本鎖切断をしないDNA編集
ウイルス学:ジカウイルスが手ごわい理由