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生物地理学:深海の生物多様性を捉える

Nature 533, 7603

サンゴに巻き付くアカトゲクモヒトデ(<i>Ophiothrix purpurea</i>)。
サンゴに巻き付くアカトゲクモヒトデ(Ophiothrix purpurea)。 | 拡大する

Credit: J.Finn

深海は、高圧で光が届かないにもかかわらず、多様な生物種の生息場所となっている。しかし、この生物多様性の分布や原動力はまだよく分かっていない。今回S Woolleyたちは、海底生物群集の優占要素であるクモヒトデ類2099種の全球海洋での分布を調べた。さまざまな研究調査で得られた存在頻度データから、種の豊富さは大陸棚と大陸斜面上部では熱帯域で最大になるが、深海では温帯の中緯度域で最大になることが示唆された。空間を明確にした統計モデルにより、海洋生物種に見られる深さに依存した多様性パターンは、利用可能なエネルギーの緯度による違いで説明することができ、大陸棚や大陸斜面上部では得られる温度エネルギーに応じて多様性が高まり、深海では得られる化学エネルギーに応じて多様性が高まる。今回これらの異なったパターンが見つかったことは、隔絶された深海生態系の保全や管理の指針を考えるために役立つかもしれない。

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