Nature ハイライト
地球物理学:地球の内核形成は昔なのか、それとも最近なのか
Nature 534, 7605
高圧高温条件での鉄や鉄合金の熱伝導率は、地球型惑星の進化とダイナミクスの重要な要因である。近年、この熱伝導率の不確かさが増してきていることから、地球史に対して極めて多様な予想が生まれ、従来の地球物理学の理論に疑問を呈している。今回2つのグループが、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルを使って、地球の核に相当する極端な温度圧力条件での鉄の性質を調べているが、異なる方法論を使っており、対照的な結論が導かれている。太田健二(東京工業大学)たちは、4500 Kまでの鉄の電気抵抗率を測定して、最近のab initio研究から予測される低い値よりさらに低い見積もりを得た。これは、地球の核の熱伝導率が高いことを示唆しており、伝導によって核が急速に冷却され、内核が比較的若いことを示していると、彼らは結論付けている。一方、Z Konôpkováたちは、大きさが水星から地球程度の惑星の核に相当する圧力温度で、レーザーパルスによる加熱後に固体鉄を伝わる熱パルスを測定した。彼らの測定結果では、地球の核の熱伝導率は従来の見積もりの下限近くであり、地球の核の熱対流が地球のダイナモを数十億年にわたって駆動してきた可能性、すなわち内核は太古のものであるという説が支持される。
2016年6月2日号の Nature ハイライト
がんゲノミクス:乳がんの変異シグネチャー
がんプロテオミクス:乳がんのプロテオゲノミクス
構造生物学:NMDA受容体活性化のコンホメーション変化
構造生物学:光合成複合体中でのエネルギー移動
超高速フォトニクス:シリカにおけるペタヘルツ帯域幅の計測
地球物理学:地球の内核形成は昔なのか、それとも最近なのか
進化遺伝学:鱗翅類の外見に関わるcortex遺伝子
考古学:ネアンデルタール人が作った古代の石筍サークル
神経科学:時間を超えて異なる記憶を結び付ける