Nature ハイライト
材料科学:予想に反した電子対形成
Nature 535, 7612
基礎物理学の原理では、同じ電荷の粒子は互いに反発し合うと考えるが、考えられないことが固体では可能であり、電子が集まることがある。電子は、適切な格子振動によって媒介されると、斥力に打ち勝って、束縛された対を形成することがある。これは、超伝導をもたらすよく知られた効果である。今回S Ilaniたちは、他の電子によって媒介される電子の相互引力といういっそうエキゾチックな効果を生み出している。彼らは、2つのカーボンナノチューブ電子デバイスを、サブマイクロメートルという高い精度で隣同士に配置して、これを実現した。一方のナノチューブの中の小さな領域に閉じ込められた電子の間の斥力を、他方のナノチューブを正確に配置して調整することによって、引力に変えることができる。この研究によって、電子による電子対形成が可能かという長年の基本的な疑問が解決され、量子電子デバイス用の新しいプラットフォームが得られる。
2016年7月21日号の Nature ハイライト
神経科学:霊長類の脳における遺伝子発現
マイクロバイオーム:腸内細菌と宿主のインスリン感受性
がん治療:BRCA欠損がんで化学療法抵抗性が生じる新規な機構
材料科学:予想に反した電子対形成
気候科学:南極半島の気候における極端な自然変動
神経科学:恐怖を作り出す時間と場所
細胞生物学:膵臓β細胞の成熟マーカー
マイクロバイオーム:ヒトマイクロバイオーム内の可動性細菌遺伝子
免疫学:腸のこれまで知られていなかった防御機構