Nature ハイライト

Cover Story:見直された脳:ヒト大脳皮質の新たに改良された地図は、半球当たり180個のそれぞれ異なる区画を明らかにしている

Nature 536, 7615

ヒトの左右の大脳半球表面上に描かれた、多モード皮質区分。区分領域は半球当たり計180に上る。
ヒトの左右の大脳半球表面上に描かれた、多モード皮質区分。区分領域は半球当たり計180に上る。 | 拡大する

Credit: Matthew F. Glasser, David C. Van Essen

表紙は、ヒト左大脳半球表面上に描かれたヒト・コネクトーム・プロジェクトによる多モード皮質区分(第1版)を示している。神経科学では1世紀以上にわたって、ヒト大脳皮質を解剖的・機能的に異なる領域のパッチワークとなるように区分けすることを試みてきた。これまで、こうした地図は、たとえば微細構造や機能的画像化といった単一の特性だけによることが多く、比較的少数の被験者例に基づいて作られてきたため、領域割り付けの個人ごとの違いによって境界があいまいになることが多かった。今回D Van Essenたちは、210人の健常被験者から得られた多モードの画像化データを統合することによってこのような欠点の解消を試み、ヒト大脳皮質の新しい、もっと「ユニバーサル」な区分地図を作製して、さらに別の210人でその正当性を実証した。著者たちは、片側の半球当たりに総計180の領域(うち97はこれまで知られていなかった)が存在すると考えており、機械学習型の識別装置を使い、新規被験者脳で、たとえ非定型的な区画分けがされる場合であっても、これらの領域を自動的に突き止めている。この無料公開されているリソースは、健常な、また疾病状態にあるヒト脳についての今後の構造的また機能的研究について、解剖学的な正確さを高め、解釈可能性をさらに広げることになるだろう。

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