Nature ハイライト

細胞生物学:シグナル認識粒子の特異性

Nature 536, 7615

翻訳を行っているリボソームが合成中の新生タンパク質は、シグナル認識粒子(SRP)として知られるタンパク質–RNA複合体によって、合成と同時進行で小胞体に転位するように誘導される。G Kramerたちは今回、大腸菌(Escherichia coli)中のSRPインタラクトームについての研究で、SRPの基質の性質や、基質が選択される仕組みについて調べた。そして、SRPが標的とするのは内膜タンパク質の疎水性の膜貫通ドメイン(TMD)がほとんどで、外膜やペリプラズム間隙のタンパク質は却下することが明らかになった。今回のデータはまた、SRPはリボソームから出てくる最初のTMDに結合するというこれまでの考えに異議を唱えるものであり、最終的に膜を複数回貫通すると思われる多くのタンパク質で、SRPが複数のTMDに結合することが示されている。今週号には、SRPについての論文がもう1つ掲載されており、そちらではJ Frydmanたちが酵母細胞を使って研究を行い、SRPは分泌されることが決まっている基質を選んでそれらが完全に翻訳される前に結合すること、つまり、このような結合は、その基質のmRNA中に含まれる非コードエレメントを介するものであり、基質がどこへ向かうのかを示す「ターゲッティング(標的設定)シグナル」が翻訳される前に結合が起こることを明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度