Nature ハイライト

構造生物学:アルギニンを結合したヒトCASTOR1の構造

Nature 536, 7615

mTOR経路は細胞増殖の主要な調節因子で、多くの疾患で脱調節している。この経路は、アミノ酸や増殖因子などの、環境からの多様な入力により影響を受ける。アルギニンの利用可能性は、調節因子GATOR2と相互作用するタンパク質のCASTOR1を介してmTORC1に伝えられる。D Sabatiniたちは今回、アルギニンを結合したCASTOR1の結晶構造を明らかにした。この構造とそれに伴って調べられた生化学的性質から、アルギニンがCASTOR1により特異的に検知され、CASTOR1のGATOR2との結合を破壊して、mTORC1の活性化を引き起こす仕組みが示された。また、CASTOR1は原核生物のアスパラギン酸キナーゼのリシン結合ドメインと構造的に相同である。従って、これらの結果はmTORC1経路によるアルギニン検知の構造的基礎を確立し、さらに哺乳類の栄養センサーの進化に関する手掛かりを与えるものである。

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