Nature ハイライト
生化学:PCNAをSUMO化する仕組みの解明
Nature 536, 7616
ユビキチンやSUMOなどのユビキチン様タンパク質は、E1、E2およびE3酵素により触媒される一連の反応を介して基質タンパク質に結合する。このような翻訳後修飾はさまざまな細胞過程を調節している。例えば、DNA損傷に対する細胞応答を仲介するタンパク質のPCNAはE3リガーゼのSiz1により特異的に認識され、SUMOによる修飾を受ける。PCNAのSUMO化についての構造に関する手掛かりを得ることは、技術的に難しいことが分かっている。F Streich JrとC Limaは今回、タンパク質工学に基づく新しい方法を使ってこの難問を克服し、Siz1、SUMOが結合したE2とPCNAの3つで形成された無傷複合体を捕捉することに成功した。この方法は、他のE3/E2/基質複合体を捕捉して生化学的、構造的特性を解明するのに広く使えると考えられる。今回の研究では、Siz1がPCNAをあまり例のない位置に置くことでE2の活性部位に基質が強制的に押し込まれて、E2がもともと持っている特異性が本質的に回避されていることが分かった。
2016年8月18日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエの睡眠促進細胞
がん:がんを誘導するクローン動態
生化学:PCNAをSUMO化する仕組みの解明
物性物理学:La2−xSxCuO4超伝導の物理
触媒:選択的メタン酸化の機構
行動遺伝学:求愛歌の違いにイオンチャネルが関係
神経科学:睡眠を調節するドーパミン性スイッチ
神経科学:ウィリアムズ症候群のiPSCモデル
発生生物学:マウス胚における初期の細胞選別現象
構造生物学:真核細胞の呼吸を駆動する酵素の構造