Nature ハイライト
神経科学:ウィリアムズ症候群のiPSCモデル
Nature 536, 7616
神経発達障害のウィリアムズ症候群(WS)の患者は、第7染色体の一部領域を欠失しており、この領域には約25の遺伝子が含まれている。この疾患は、社交性が非常に高いことやさまざまな認知障害および行動障害を特徴とするが、特定の遺伝子群がこの神経解剖学的および機能的な変化に影響を与える仕組みは分かっていない。A Muotriたちは今回、細胞の再プログラム化技術を用いて、WS患者群と対照群から誘導多能性幹細胞(iPSC)を作製した。WS患者のiPSC由来の神経前駆細胞(NPC)は、FZD9(frizzled 9)遺伝子のハプロ不全のためアポトーシスが増加していた。さらに、iPSC由来のWS皮質ニューロンは活動の変化および形態変化を示し、そうした形態変化のいくつかはWS患者の死後脳で見られるものと一致していた。このヒトiPSCモデルは、WSのさまざまな特徴の原因となる分子機構および細胞機構についての手掛かりを与えてくれるかもしれない。
2016年8月18日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエの睡眠促進細胞
がん:がんを誘導するクローン動態
生化学:PCNAをSUMO化する仕組みの解明
物性物理学:La2−xSxCuO4超伝導の物理
触媒:選択的メタン酸化の機構
行動遺伝学:求愛歌の違いにイオンチャネルが関係
神経科学:睡眠を調節するドーパミン性スイッチ
神経科学:ウィリアムズ症候群のiPSCモデル
発生生物学:マウス胚における初期の細胞選別現象
構造生物学:真核細胞の呼吸を駆動する酵素の構造