Nature ハイライト
触媒:選択的メタン酸化の機構
Nature 536, 7616
鉄含有ゼオライトにはメタンをメタノールに変換する並外れた能力があるが、活性部位を調べることが難しいため、この変換反応に関与する機構はよく分かっていない。今回E Solomonたちは、酵素研究でよく使われている磁気円二色性測定を用いて、こうした不均一触媒のα- Fe(II)活性部位と反応中間体の構造を明らかにできることを実証している。メタンをメタノールに変換する高効率過程は、研究や産業の分野で幅広く応用できると思われる。今回研究対象となった触媒は、メタノールをさらに酸化してしまうため実用性は低いが、この系の並外れた反応性はゼオライト格子によって強いられる束縛された配位構造に由来することがデータによって示された。従って、この知見から、他の不均一触媒の活性を調節する有用な手段が得られる可能性がある。
2016年8月18日号の Nature ハイライト
神経科学:ショウジョウバエの睡眠促進細胞
がん:がんを誘導するクローン動態
生化学:PCNAをSUMO化する仕組みの解明
物性物理学:La2−xSxCuO4超伝導の物理
触媒:選択的メタン酸化の機構
行動遺伝学:求愛歌の違いにイオンチャネルが関係
神経科学:睡眠を調節するドーパミン性スイッチ
神経科学:ウィリアムズ症候群のiPSCモデル
発生生物学:マウス胚における初期の細胞選別現象
構造生物学:真核細胞の呼吸を駆動する酵素の構造