Nature ハイライト
量子物理学:量子系に触れる
Nature 538, 7626
量子力学における測定では、波動関数の収縮が起こるため、2つの非可換変数の同時測定は、古典的な系の場合よりはるかに困難である。それに加えて、非可換変数はハイゼンベルクの不確定性原理に支配されているので、こうした変数を測定できる精度は基本的に制限される。今回、共振器中に置いた超伝導キュービットにおいて、2つの非可換オブザーバブルの同時測定時に起こることを調べる方法が開発された。著者たちは、非破壊測定を通してこの系を連続的に観察し、系のダイナミクスが不確定性原理に支配されており、異なる位相の波動関数収縮が存在することを見いだした。量子系を操作するさまざまな方法が得られることから、量子制御の新たな可能性が、また、複数の非可換特性の同時測定ができるようになる可能性があることから、量子計測の新たな可能性が、今回の知見によってもたらされるかもしれない。
2016年10月27日号の Nature ハイライト
学習アルゴリズム:ニューラルネットワークとコンピュータープログラムからなるハイブリッド人工知能
がん治療:MCL1タンパク質は抗がん剤の標的候補
宇宙物理学:三重星系の重力不安定性
惑星科学:月の高エネルギー巨大衝突起源説
量子物理学:量子系に触れる
超重元素:ノーベリウムの化学的性質を捉える
生物地球化学:大気中の二酸化炭素と植物の成長
古生物学:白亜紀の鳥類発声器
社会学:女性性器切除に対する姿勢
合成生物学:生まれ変わったリプレッシレーター