Nature ハイライト
超重元素:ノーベリウムの化学的性質を捉える
Nature 538, 7626
周期表の最重元素の特性評価は、非常に骨の折れる作業である。最重元素は放射性元素であり、ほんの一瞬しか存在せず、複雑な手順で十分な量を人工的に作らなければならないからである。光学分光法で特性が評価されたことのある元素の中で最も重い元素は、原子番号100のフェルミウムである。今回M Laatiaouiたちは、フェルミウムの評価に用いられた方法を拡張して、ノーベリウム(原子番号102)の光学分光を行っている。著者たちは、レーザー共鳴イオン化分光法によって、ノーベリウムの基底状態遷移を確認し、リュードベリ状態と呼ばれる高励起状態を調べている。彼らは、その結果から、ノーベリウム原子のイオン化ポテンシャルの上限を決定できた。今回の研究結果は、ローレンシウムなどのさらに重い元素の、光学分光法による特性評価への道を開くものである。
2016年10月27日号の Nature ハイライト
学習アルゴリズム:ニューラルネットワークとコンピュータープログラムからなるハイブリッド人工知能
がん治療:MCL1タンパク質は抗がん剤の標的候補
宇宙物理学:三重星系の重力不安定性
惑星科学:月の高エネルギー巨大衝突起源説
量子物理学:量子系に触れる
超重元素:ノーベリウムの化学的性質を捉える
生物地球化学:大気中の二酸化炭素と植物の成長
古生物学:白亜紀の鳥類発声器
社会学:女性性器切除に対する姿勢
合成生物学:生まれ変わったリプレッシレーター