Nature ハイライト
Cover Story:胚細胞腫瘍のゲノミクス:胚細胞腫瘍での化学療法抵抗性の進化
Nature 540, 7631
表紙は、生殖細胞に分化する過程でヘテロ接合性を失い、アポトーシスを起こしている悪性胚細胞。胚で発生し生殖系の細胞となる胚細胞から形成された腫瘍は、成体に生じる他の多くのがんよりも化学療法に対する感受性が高い傾向がある。今回E Van AllenとC Sweeneyたちは、このような化学療法感受性の基盤と臨床で見られる化学療法抵抗性の推進因子を確かめる目的で、多様な臨床転帰(胚細胞腫瘍による死亡という非常にまれな症例を含む)が見られる患者に由来する胚細胞腫瘍について、臨床における全エキソームおよびトランスクリプトーム塩基配列解読を行った。原発性の胚細胞腫瘍では、染色体のRLOH(reciprocal loss of heterozygosity)とKRASの変異が他より非常に多く、またアポトーシスに対するプライミング(膜透過性亢進)状態にあるミトコンドリアも増えていることが分かった。この研究は、胚細胞腫瘍における化学療法感受性、また化学療法抵抗性の進化に関する手掛かりを与えるものである。
2016年12月1日号の Nature ハイライト
神経科学:ウミユスリカの夜と昼の習性
細胞生物学:ミトコンドリアの機能不全を修正する新たな方法
構造生物学:伸長因子SelBのGTPアーゼ活性化
惑星科学:冥王星における揮発性物質の輸送のシミュレーション
惑星科学:スプートニク平原が準惑星冥王星を再配向させた仕組み
惑星科学:スプートニク平原の下に海が存在する可能性
惑星科学:スプートニク平原とカロンを結ぶ軸
生物地球化学:地球温暖化と土壌炭素損失
社会進化学:子育ての負担を分かち合う
細胞生物学:小胞体へ向かうもう1つの経路
細胞生物学:ダイナミンとミトコンドリアの分裂