Nature ハイライト

Cover Story:胚細胞腫瘍のゲノミクス:胚細胞腫瘍での化学療法抵抗性の進化

Nature 540, 7631

表紙は、生殖細胞に分化する過程でヘテロ接合性を失い、アポトーシスを起こしている悪性胚細胞。胚で発生し生殖系の細胞となる胚細胞から形成された腫瘍は、成体に生じる他の多くのがんよりも化学療法に対する感受性が高い傾向がある。今回E Van AllenとC Sweeneyたちは、このような化学療法感受性の基盤と臨床で見られる化学療法抵抗性の推進因子を確かめる目的で、多様な臨床転帰(胚細胞腫瘍による死亡という非常にまれな症例を含む)が見られる患者に由来する胚細胞腫瘍について、臨床における全エキソームおよびトランスクリプトーム塩基配列解読を行った。原発性の胚細胞腫瘍では、染色体のRLOH(reciprocal loss of heterozygosity)とKRASの変異が他より非常に多く、またアポトーシスに対するプライミング(膜透過性亢進)状態にあるミトコンドリアも増えていることが分かった。この研究は、胚細胞腫瘍における化学療法感受性、また化学療法抵抗性の進化に関する手掛かりを与えるものである。

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