Nature ハイライト
細胞生物学:有糸分裂チェックポイント複合体の会合
Nature 542, 7642
細胞の有糸分裂の際には、動原体と呼ばれるタンパク質構造を介して、染色分体が紡錘体微小管に結合する。微小管が結合していない動原体が1個でも残っていると、紡錘体形成チェックポイント(SAC)が活性化されて、有糸分裂の進行を止める。細胞では、このSAC応答は数分以内に作動する。しかしin vitroでは、SACのエフェクタータンパク質MAD2がコンホメーション変化によって活性化され、有糸分裂チェックポイント複合体が形成できるようになるのには数時間を要する。今回A Musacchioたちは、ほぼ完全に近いSACシグナル伝達系を再構築してリアルタイムセンサーで解析し、この所要時間の不一致の理由を解明した。この観察結果は、細胞内で起こるMAD2の迅速で自発的な構造変換の仕組みの説明となりそうだ。
2017年2月23日号の Nature ハイライト
気候科学:更新世の間氷期のタイミング
遺伝学:発達障害におけるde novo変異
神経科学:網膜での視覚特徴の表現
免疫学:マラリアワクチンの探索
生理学:新規のアディポカイン
地球科学:白亜紀に起きたカオス的な軌道変動
進化学:新たな化石から明らかになった初期の軟体動物形態
発生生物学:胚発生中の母性mRNAの除去
がん:抗がん剤がDNAに与える望ましくない作用
分子生物学:RNAメチル化を介して起こるtRNA修飾
細胞生物学:有糸分裂チェックポイント複合体の会合