Nature ハイライト
細胞生物学:機械ストレスに応答した細胞分裂
Nature 543, 7643
上皮細胞層は臓器を覆って障壁として機能するが、そこでは常に細胞分裂と細胞死が繰り返されている。では、このような動的な過程が起こっていても上皮の障壁機能が損なわれないのはどのような仕組みによるのだろうか。J Rosenblattたちは以前に、上皮細胞が過密になると、伸展活性化チャネルPiezo1が活性化されて細胞が押し出され、それらの細胞は後に死に至ることを報告している。今回、彼らは過密の反対の状況、つまり細胞死による密度の減少という状況に上皮がどのように対処するかを検討した。細胞死の後、周囲の細胞は低密度になる。この低密度状態もまたPiezo1活性化を引き起こし、それによって細胞分裂が開始して細胞数のバランスが回復することが分かった。著者たちは、細胞の伸展が細胞分裂を誘発する分子機構についての手掛かりを示し、細胞が受ける機械的な力の種類によってPiezo1が細胞分裂または細胞の押し出しのどちらかのシグナルを出すのではないかと考えている。
2017年3月2日号の Nature ハイライト
古生態学:熱水噴出孔に存在した初期生命
がん:膵神経内分泌腫瘍のゲノミクス
分子生物学:遺伝子内のDNAメチル化の役割
生化学:メタン触媒の分子構成
天文学:ガスのアウトフローはブラックホールの内部円盤に応答している
材料科学:歯のエナメル質から着想を得た強靭な材料
地球科学:地球の核の内部での結晶化
免疫学:CARで腫瘍拒絶をドライブする
細胞生物学:機械ストレスに応答した細胞分裂
植物科学:光化学系IIでのO=O結合形成