Nature ハイライト
素粒子物理学:まれな崩壊を探して
Nature 544, 7648
ニュートリノの性質は、素粒子物理学における最も不可解な側面の1つである。標準模型の拡張版の大半では、ニュートリノはそれ自身の反粒子であると仮定されており、こうした粒子はマヨラナフェルミオンと呼ばれている。もしニュートリノが自身の反粒子なら、まだ検出されていない非常にまれな二重β崩壊と呼ばれる放射性崩壊が存在するはずである。まれな崩壊を発見するため、あるいはその崩壊の存在にさらに厳しい制限を課すためには、バックグラウンド事象の抑制が不可欠である。今回、GERDA Collaborationは、35.6 kgのゲルマニウム76におけるニュートリノレス二重β崩壊の探索について報告している。巧妙なバックグラウンド除去系を用いることで、この分野で長く待ち望まれていた、本質的にバックグラウンドのない環境での探索が可能となり、その結果、この崩壊の半減期の下限が5.3 × 1025年であると決定された。今回のバックグラウンド抑制技術によって、近い将来、半減期感度約1027年までのバックグラウンドのない探索が可能になるはずである。
2017年4月6日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:まれな崩壊を探して
幹細胞:骨髄の緊急時の血液バンク
細胞生物学:ゲノムをHi-C法で捉える
生化学:腸でのペクチンの分解
化学:現場で水素を作る
生物地球化学:バイオマスの過去の増加
神経科学:顆粒細胞の報酬反応
微生物学:スペーサーの早期獲得が免疫を高める
免疫学:肺は新鮮な血液の供給源である
構造生物学:アディポネクチン受容体の酵素活性