Nature ハイライト
生物地球化学:バイオマスの過去の増加
Nature 544, 7648
大気中の二酸化炭素濃度が高まった結果として陸域の総一次生産量(GPP)が増加するかどうかはまだよく分かっていない。このため、陸域の炭素貯蔵および炭素循環と気候の間のフィードバックのモデルによる見積もりの不確かさは大きい。今回、大気中の硫化カルボニルの長期にわたる記録に基づいて、20世紀におけるGPPの増加の見積もりが示されている。硫化カルボニルは、その供給源の変化や植物の葉による吸収などのシンクの変化に応答する。モデルシミュレーションを用いた結果、この硫化カルボニルの記録は、20世紀にGPPが約30%増加したと仮定する気候–炭素循環モデルシミュレーションの結果と最もよく一致することが見いだされた。硫化カルボニルの記録の解析から、過去の炭素循環をモデル化する際の全球スケールの基準が得られる可能性があると、著者たちは述べている。
2017年4月6日号の Nature ハイライト
素粒子物理学:まれな崩壊を探して
幹細胞:骨髄の緊急時の血液バンク
細胞生物学:ゲノムをHi-C法で捉える
生化学:腸でのペクチンの分解
化学:現場で水素を作る
生物地球化学:バイオマスの過去の増加
神経科学:顆粒細胞の報酬反応
微生物学:スペーサーの早期獲得が免疫を高める
免疫学:肺は新鮮な血液の供給源である
構造生物学:アディポネクチン受容体の酵素活性