Nature ハイライト

動物行動学:子育ての遺伝学

Nature 544, 7651

齧歯類は営巣などのさまざまな子育て行動を見せるが、こうした子育て義務を熱心に遂行する種もあれば、そうでもない種もある。しかし、子育て行動をどの程度行うかに影響を及ぼす遺伝的・進化的な機構は不明である。今回、H Hoekstraたちは量的遺伝学的手法を用いて、近縁種内で子育てに影響を与える遺伝子の候補を明らかにしている。視床下部ホルモンのバソプレッシンのレベルを上昇させる遺伝的変化は、営巣行動の減少と関連があった。さらに、バソプレッシンを分泌するニューロンを人為的に操作すると、営巣の度合いに直接影響を及ぼし、ニューロンのバソプレッシン放出活性の低下は、営巣行動レベルの上昇と相関を示した。この結果は、神経ペプチドシグナル伝達の変動が、子育てのような複雑な社会的行動に影響している可能性を示唆している。

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