Nature ハイライト
材料科学:超高密度な析出物が超高強度鋼を作る
Nature 544, 7651
超高強度で延性がある鋼は、とりわけ自動車産業やエネルギー産業で重要な材料となっている。特に重要な鋼種は、長時間の加熱で時効処理したマルテンサイト鋼、すなわちマルエージング鋼である。マルエージング鋼は、金属間化合物の半整合析出物によって強度を獲得する。今回、高価なコバルトやチタンといった合金化元素を軽量で安価なアルミニウムに完全に置き換えたマルエージング鋼が報告されている。最小の格子不整合ひずみで鋼中に高密度に生成した析出物によって、非常に高い強度(最高で2.2 GPa)と良好な延性(約8.2%)の見事な両立が実現した。作製した鋼の特性は、アトムプローブトモグラフィー、HAADF STEM、シンクロトロンXRDなどの一連の高分解能技術を用いて評価されている。
2017年4月27日号の Nature ハイライト
動物行動学:子育ての遺伝学
分子生物学:クロマチンリモデリング因子の構造
構造生物学:アミノ酸輸送体の構造
材料科学:超高密度な析出物が超高強度鋼を作る
顕微鏡学:細胞の中を色素で観察
大気科学:砂漠が温暖化するほど嵐が増える
考古学:アメリカ最古のヒトの活動
神経科学:ヒト臍帯血は認知機能を高める
免疫学:細菌塊を形成させる抗体が腸管を守る