Nature ハイライト
考古学:アメリカ最古のヒトの活動
Nature 544, 7651
約13万年前、1頭のマストドンが現在の米国カリフォルニア州サンディエゴ付近で死んだ。これ自体は問題がなさそうだが、T Deméréたちは今回、その死骸に人類が手を加えたことを裏付ける証拠を示している。叩き石と台石が、打ち付けにより破壊された痕跡が認められるマストドンの骨および歯のそばで発見されたのである。これらはおそらく、骨髄を取り出すための行為の証拠だと考えられる。これらの骨には放射性炭素年代測定に使えるコラーゲンがほとんど残っていないため、遺跡の年代決定は容易でなく、光刺激ルミネッセンス年代測定法では6万~7万年以上前と示された。環境と骨の間のウランの移動によって絞り込められるウラン崩壊に基づく年代測定の結果からは、約13万年前という年代がはじき出された。さらなる裏付けが得られれば、人類が南北アメリカに存在したことが知られている時代が10倍延長され、現生人類が初めてアフリカを出たと考えられている年代に先行することになる。一方で、存在していた可能性のあるこのヒト族種が何者であったのかは、まだ分からない。
2017年4月27日号の Nature ハイライト
動物行動学:子育ての遺伝学
分子生物学:クロマチンリモデリング因子の構造
構造生物学:アミノ酸輸送体の構造
材料科学:超高密度な析出物が超高強度鋼を作る
顕微鏡学:細胞の中を色素で観察
大気科学:砂漠が温暖化するほど嵐が増える
考古学:アメリカ最古のヒトの活動
神経科学:ヒト臍帯血は認知機能を高める
免疫学:細菌塊を形成させる抗体が腸管を守る