Nature ハイライト
免疫学:細菌塊を形成させる抗体が腸管を守る
Nature 544, 7651
免疫グロブリンA(IgA)は、多くの感染に対する生体防御の第一線で働く重要な因子であるが、腸において防御機能を誘導する物理的な過程についてはほとんど明らかにされていない。今回K Moorたちは、マウスの腸においてIgAは、分裂中の細菌の子孫細胞をつないでクローン性あるいはオリゴクローン性の細菌塊とすることで、ネズミチフス菌(Salmonella Typhimurium)感染を防ぐことを示している。この細胞塊を形成させる機構により、IgAは侵襲性を持つ可能性のある細菌種を直接無力化して、細菌の侵入を防ぎ、その一方で、宿主に対するダメージを引き起こしかねない免疫過程を回避している。
2017年4月27日号の Nature ハイライト
動物行動学:子育ての遺伝学
分子生物学:クロマチンリモデリング因子の構造
構造生物学:アミノ酸輸送体の構造
材料科学:超高密度な析出物が超高強度鋼を作る
顕微鏡学:細胞の中を色素で観察
大気科学:砂漠が温暖化するほど嵐が増える
考古学:アメリカ最古のヒトの活動
神経科学:ヒト臍帯血は認知機能を高める
免疫学:細菌塊を形成させる抗体が腸管を守る