Nature ハイライト
神経科学:ヒト臍帯血は認知機能を高める
Nature 544, 7651
加齢は認知機能の変化をもたらし、そうした変化は神経疾患につながる可能性がある。T Wyss-Corayたちは今回、ヒトの臍帯血漿が加齢マウスで海馬を活性化し、認知機能を改善し得ることを明らかにしている。彼らは血中因子のTIMP2(tissue inhibitor of metalloproteinases 2)が、ヒト臍帯血漿や若齢マウスの血漿、若齢マウスの海馬に多く含まれていることを見いだした。TIMP2は全身投与後に脳に入り、臍帯血漿による認知機能改善に必要である。また、全身性のTIMP2は、若齢マウスの空間記憶に必須であり、脳切片をTIMP2抗体で処理すると、長期増強を阻害することから、TIMP2は正常な海馬機能でも役割を持っていることが示唆される。
2017年4月27日号の Nature ハイライト
動物行動学:子育ての遺伝学
分子生物学:クロマチンリモデリング因子の構造
構造生物学:アミノ酸輸送体の構造
材料科学:超高密度な析出物が超高強度鋼を作る
顕微鏡学:細胞の中を色素で観察
大気科学:砂漠が温暖化するほど嵐が増える
考古学:アメリカ最古のヒトの活動
神経科学:ヒト臍帯血は認知機能を高める
免疫学:細菌塊を形成させる抗体が腸管を守る