Nature ハイライト

量子物理学:高温超伝導の秘密を探る

Nature 545, 7655

高温超伝導は複雑な現象のように見えるが、その基本的な特徴は、非常に単純なフェルミ・ハバード模型によって捉えられる。極低温量子気体を用いることによってこの模型を模倣できるようになったが、超伝導などの長距離相関に基づく興味深い現象を調べるには、系を極めて低い温度にする必要がある。今回、A Mazurenkoたちは、こうした興味深い低温相に向けた画期的な成果を示している。系全体に及ぶ相関長を持つ反強磁性体を作り出したのである。著者たちが開発した量子気体顕微鏡が、この成果の基盤となった。極低温量子気体によって、基底状態に近いフェルミ・ハバード系のシミュレーションが間もなくできるようになり、高温超伝導の機構の解明に役立つ可能性がある。

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