Nature ハイライト
ウイルス学:蚊においてジカウイルスの感染力を高める変異
Nature 545, 7655
デング熱ウイルスやジカウイルスなど、いくつかのフラビウイルスは、蚊によって伝播する。G Chengたちは以前に、蚊によるフラビウイルスの獲得は、フラビウイルスのNS1(non-structural protein 1)の影響を受けることを示している。NS1は、感染宿主の血清に分泌され、蚊は吸血の際にウイルスと共にNS1も獲得する。今回Chengたちは、このような機構がジカウイルス(ZIKV)を媒介するネッタイシマカ(Aedes aegypti)においてZIKV感染の獲得を高めるためにも働いていることを示す。著者たちは、NS1の分泌を上昇させて、蚊によるZIKVの獲得を増加させるNS1変異を明らかにしている。また、ZIKVのアジア系統の分離株のNS1タンパク質を調べたところ、この変異が2013年以降に集められた全ての分離株に観察されることも分かった。著者たちは、このNS1変異が最近の流行の迅速な拡大に関わった可能性があると考えている。
2017年5月25日号の Nature ハイライト
免疫学:T細胞機能不全の2つの段階
天文学:クエーサーの探求で見つかった活発な星形成銀河
量子物理学:高温超伝導の秘密を探る
環境科学:ディーゼル車の排ガスの危険性
神経科学:視索前野の睡眠促進ニューロン
ウイルス学:蚊においてジカウイルスの感染力を高める変異
植物生物学:植物の免疫をプログラムする
がん:腫瘍免疫を遮断する
がん:がんプログレッションにおける代謝変化の役割
生物工学:タンパク質の相互作用のマッピング