Nature ハイライト
分子生物学:記憶形成における核内アセチルCoAの役割
Nature 546, 7658
記憶形成時のニューロン遺伝子の転写調節にはヒストンのアセチル化が関連しており、ヒストンアセチル化は長期記憶の固定に極めて重要である。今回S Bergerたちは、ニューロンで代謝酵素のアセチル補酵素A(アセチルCoA)シンテターゼ2(ACSS2)がクロマチンと結合してアセチルCoAの局所濃度を上げ、ヒストンのアセチル化と神経遺伝子の転写を促進することを示している。マウス海馬では、ACSS2の発現が、記憶に関連するニューロン遺伝子群の発現と長期記憶の獲得に必要だった。これらの結果から、代謝酵素がヒストンのアセチル化に直接的な役割を持つことが明らかになり、酢酸代謝がニューロン遺伝子の調節と神経可塑性に結び付けられた。
2017年6月15日号の Nature ハイライト
幹細胞:ヒト誘導多能性幹細胞の変動をマッピングする
微生物学:下痢症の創薬研究
分子生物学:記憶形成における核内アセチルCoAの役割
応用物理学:ワイヤレス給電のためのパリティ–時間対称性
材料科学:みぞれ状の強誘電体
材料科学:タコから着想を得た粘着パッチ
免疫学:安定なT-bet発現で安全確保
細胞周期:サイクリンD3–CDK6代謝によるがん細胞の生存
がん治療:薬剤抵抗性を再プログラム化するがん細胞
構造生物学:抗CRISPRタンパク質はCas9の活性を阻害する