Nature ハイライト
構造生物学:抗CRISPRタンパク質はCas9の活性を阻害する
Nature 546, 7658
細菌は、CRISPR系という防御機構でファージの侵入から身を守っている。一方のファージもこれに対抗する自身の防御機構を備えており、いくつかの抗CRISPRタンパク質をコードしている。今回Z Huangたちは、Cas9とガイドRNAの複合体と結合した抗CRISPRタンパク質AcrIIA4の構造を解いたことを報告している。得られた構造からは、この抗CRISPRタンパク質が2つの過程を阻害することが明らかになった。AcrIIA4はまず、Cas9が標的である二本鎖DNAを認識するときに用いる、PAMと呼ばれる特殊なDNA塩基配列を構造的に模倣することでCas9の結合を阻害し、次いで、Cas9のエンドヌクレアーゼ活性部位を阻害する。今回得られた情報は、Cas9を介したゲノム編集をより精密に制御するための「オフ」スイッチを開発できる可能性を示唆している。
2017年6月15日号の Nature ハイライト
幹細胞:ヒト誘導多能性幹細胞の変動をマッピングする
微生物学:下痢症の創薬研究
分子生物学:記憶形成における核内アセチルCoAの役割
応用物理学:ワイヤレス給電のためのパリティ–時間対称性
材料科学:みぞれ状の強誘電体
材料科学:タコから着想を得た粘着パッチ
免疫学:安定なT-bet発現で安全確保
細胞周期:サイクリンD3–CDK6代謝によるがん細胞の生存
がん治療:薬剤抵抗性を再プログラム化するがん細胞
構造生物学:抗CRISPRタンパク質はCas9の活性を阻害する