Nature ハイライト
進化学:滑空するジュラ紀の哺乳形類
Nature 548, 7667
恐竜の影に隠れるように生きていた哺乳形類の化石記録はわずかだが、ここ数年で発見が相次いでおり、哺乳形類が実に多様な動物群であったことが明らかになってきている。ハラミヤ類は中生代に存在した哺乳形類の一群で、まだ謎が多い。Z Luoたちは今回、中国の髫髻山(Tiaojishan)累層(約1億6000万年前のジュラ紀)に由来するハラミヤ類の新属新種Maiopatagium furculiferumについて報告している。Maiopatagiumは滑空に特化しており、飛膜や、鳥類の融合した叉骨に似た鎖骨構造などの適応が見られる。またその肩帯は、有胎盤哺乳類や有袋類よりも、現生の卵生哺乳類であるカモノハシの肩帯によく似ている。こうした解剖学的特徴は、滑空性哺乳類やコウモリ類が出現する1億年も前に、すでに哺乳形類が飛行生活を可能にしていたことを示している。また、Luoたちは別の論文で、同じ地域に由来するまた別のハラミヤ類の新種Vilevolodon diplomylosについても報告している。この標本からは、下顎中耳や歯の交換パターン、歯の咬合などの特徴が明らかになり、食性に関する手掛かりが得られた。
2017年8月17日号の Nature ハイライト
進化学:滑空するジュラ紀の哺乳形類
天文学:赤色超巨星の高速運動するガス
ナノ科学:カオスの縁で計算する
人類学:初期の現生人類がスマトラ島に住んでいた
神経科学:味覚系をいじって苦味と甘味を混乱させる
幹細胞:皮膚は異常増殖を修正することでその形状を維持する
遺伝学:抗がん剤抵抗性を引き起こすlncRNA
細胞生物学:タンパク質分解につながるチャネル
細胞生物学:細胞膜からアクセスできる脂質シグナル伝達受容体