Nature ハイライト

進化学:滑空するジュラ紀の哺乳形類

Nature 548, 7667

ジュラ紀の滑空性哺乳形類<i>Maiopatagium</i>(想像図)。
ジュラ紀の滑空性哺乳形類Maiopatagium(想像図)。 | 拡大する

Credit: Reconstruction by April I. Neander/UChicago

恐竜の影に隠れるように生きていた哺乳形類の化石記録はわずかだが、ここ数年で発見が相次いでおり、哺乳形類が実に多様な動物群であったことが明らかになってきている。ハラミヤ類は中生代に存在した哺乳形類の一群で、まだ謎が多い。Z Luoたちは今回、中国の髫髻山(Tiaojishan)累層(約1億6000万年前のジュラ紀)に由来するハラミヤ類の新属新種Maiopatagium furculiferumについて報告している。Maiopatagiumは滑空に特化しており、飛膜や、鳥類の融合した叉骨に似た鎖骨構造などの適応が見られる。またその肩帯は、有胎盤哺乳類や有袋類よりも、現生の卵生哺乳類であるカモノハシの肩帯によく似ている。こうした解剖学的特徴は、滑空性哺乳類やコウモリ類が出現する1億年も前に、すでに哺乳形類が飛行生活を可能にしていたことを示している。また、Luoたちは別の論文で、同じ地域に由来するまた別のハラミヤ類の新種Vilevolodon diplomylosについても報告している。この標本からは、下顎中耳や歯の交換パターン、歯の咬合などの特徴が明らかになり、食性に関する手掛かりが得られた。

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