Nature ハイライト
神経科学:味覚系をいじって苦味と甘味を混乱させる
Nature 548, 7667
味細胞は非常に急速に代謝回転していて、その寿命はわずか5~20日であるが、このように常に補充されている味細胞が、それぞれの結合相手である神経節ニューロンと適切な結合を再構築する仕組みについては分かっていない。今回C Zukerたちは、味受容器細胞が、味受容器細胞タイプごとに異なる軸索ガイダンス分子を使って、特定の味質を表現するニューロンと結合を作る(例えば、苦味受容器細胞は苦味ニューロンと結合する)ことを明らかにしている。著者たちはこの分子的論理を証明するため、甘味受容器細胞に苦味ガイダンス分子を異所的に発現させるだけで、甘味受容器細胞を苦味ニューロンと結合させた。今回の知見で、味覚系がこれほど大規模に細胞の代謝回転を行いながらも、その構成と特異性を保っている仕組みについての手掛かりが得られた。
2017年8月17日号の Nature ハイライト
進化学:滑空するジュラ紀の哺乳形類
天文学:赤色超巨星の高速運動するガス
ナノ科学:カオスの縁で計算する
人類学:初期の現生人類がスマトラ島に住んでいた
神経科学:味覚系をいじって苦味と甘味を混乱させる
幹細胞:皮膚は異常増殖を修正することでその形状を維持する
遺伝学:抗がん剤抵抗性を引き起こすlncRNA
細胞生物学:タンパク質分解につながるチャネル
細胞生物学:細胞膜からアクセスできる脂質シグナル伝達受容体