Nature ハイライト
植物科学:コケにおける性の話
Nature 549, 7670
イオンチャネル型グルタミン酸受容体は、動物では神経伝達を仲介する陽イオンチャネルとして働く。J Feijóたちは今回、神経系を持たない生物であるコケにおけるGLUTAMATE RECEPTOR-LIKE(GLR)チャネルの役割を明らかにしている。陸上植物の基部に位置するこの植物は、動物のように運動性の精子を持ち、これらの精子は受精のために走化性によって雌の生殖器官を目指す。著者たちは、GLRチャネルを欠失させるとこの過程が起こらなくなり、GLRはカルシウムを介したシグナル伝達の調節や、接合子発生に必須な転写因子の発現に必要とされるようであることを見いだした。動物の受精でもグルタミン酸受容体が機能しているかどうかは興味深い疑問である。
2017年9月7日号の Nature ハイライト
量子物理学:軌道に乗る量子セキュリティー技術
微生物学:微生物はヒトのシグナル伝達を模倣する
分子生物学:抑制されたクロマチンから転写を開始
神経科学:活性型AMPA受容体の構造が初めて解かれた
惑星科学:木星の見事なオーロラ
表面科学:触媒の活性部位を特定する
発生生物学:心臓の非対称性は右から始まる
植物科学:コケにおける性の話
がん:免疫回避の調節
遺伝子調節:CRISPR活性化によるエンハンサー機能のマッピング